研究成果:
一般化された期待感が及ぼす
ネガティブ・ムードの緩和
イリノイ州立大学 サルヴァトーレ・カタンザーロ (Salvatore J. Catanzaro)
カリフォルニア州立大学フラトン校 ジャック・マーンズ (Jack Mearns)
研究概要:
この一連の研究は、一般化された期待感によるネガティブ・ムードの緩和(Negative Mood Regulation: NMR)について検討しています。 ネガティブ・ムード緩和への期待感とは、ネガティブな心的状態に陥ったとき、それぞれ個人が持つ“何かすることによって気分の 向上を図ることができる”という信念や思いを表しています。我々は、こういった期待感を測定するため、“ネガティブ・ムード緩和への期待感尺度”を開発しました。
研究結果によると、力ネガティブな心的状態を緩和する自己能力があると強く信じている人ほど、ストレスにより効果的に対処することができることを 示唆しています。さらに、こういった人の場合、負の感情(怒り、不安、うつ、罪悪感など)を経験することがより少なく、健康に関する問題も 期待感の低い人に比べ、少ないことがわかっています。
この研究は、さまざまな人を対象に行われており、大学生、アルツハイマー症患者の介護者、教師、警察官の方々も含まれています。
また、この研究は、ジュリアン B ロッター (Julian B. Rotter, 1954) の社会学習論に基づいています。ロッターと彼の理論については、 こちらをクリックしてください。.
概して、さまざまな研究の成果により、ネガティブ・ムード緩和への期待感は、感情・認知・行動を予測するために重要であると示されています。 ネガティブ・ムード緩和への期待感の強い人は、ネガティブな出来事を経験しているときでも、苦悩がより少なく、ポジティブ思考になることでいやな出来事に対応することができます。 また、このような人は、自分の心的状態(ムード)を向上させる方略をうまく利用します。 近年の結果によると、ネガティブ・ムード緩和への期待感尺度は、精神療法における経過を評価するために効果的であることが示されています。 そして、この期待感が強い人ほど、弱い人に比べて精神療法での効果も優位であるように思われます。
ネガティブ・ムード緩和への期待感尺度の他言語版について:
我々の研究仲間である Matthias Backenstrass によって作成されたドイツ語 版。 日本語 版も現在、開発中です。 また、マーンズ教授は、この研究に興味のある日本人学生をカリフォルニア州立大学の心理学科修士課程(Master of Science) にて募集しています。
ネガティブ・ムード緩和に関する出版物:
下記にあるのが、すでに出版されている学術論文のリストです。 名前の部分をクリックすると、研究の概略を見ることができます。
その他のネガティブ・ムード緩和に関する研究:
その他の研究者に興味のある方は こちらをクリックしてください。
文献一覧が載っています。
ネガティブ・ムード緩和への期待感尺度を入手するために:
ネガティブ・ムード緩和への期待感尺度の問題項目と実施方法はCatanzaro & Mearns
(1990)に出版されています。もしその他の情報をご希望でしたら、あなたの研究の概略とともにをカタンザーロ教授 または
マーンズ教授までご連絡ください。
日本におけるネガティブ・ムード緩和の研究:
私たちは現在、日本出身の絵里子セルフ教授 と共にネガティブ・ムード緩和への期待感尺度、日本語版を開発中です。 日本の研究者の方でネガティブ・ムード緩和の共同研究に興味のある方、あるいは日本の大学生で本校の大学院心理学科修士課程に興味のある方は、ぜひご連絡ください。
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絵里子セルフ教授(日本語でのメール可)
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Dr. CatanzaroSend e-mail to:
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rev. 12/17/10